「後継者への事業承継を考えているが、設備投資の資金が不足している…」 「親族や従業員への承継を機に、事業を成長させたい…」 「事業承継に使える補助金があると聞いたが、詳しい内容がわからない…」
このような課題を抱える中小企業経営者の方に、**事業承継・M&A 補助金(事業承継促進枠)**が注目されています。
本記事では、13 次公募の最新情報をもとに、補助金の概要から申請方法まで詳しく解説します。
事業承継・M&A 補助金(事業承継促進枠)とは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助金名 | 事業承継・M&A 補助金(事業承継促進枠) |
| 補助額 | 最大 800 万円(賃上げ実施で最大 1,000 万円) |
| 補助率 | 1/2〜2/3 |
| 対象者 | 親族内承継・従業員承継を予定する中小企業者等 |
| 申請期間 | 2025 年 10 月 31 日〜2025 年 11 月 28 日 17:00 |
| 申請方法 | jGrants による電子申請 |
事業承継・M&A 補助金は、中小企業者等が事業承継に際して行う設備投資等を支援する補助金です。
事業承継促進枠では、親族内承継や従業員承継(事業再生を伴うものを含む)を予定している後継者が中心となって取り組む、生産性向上に資する設備投資等が補助対象となります。
目次
申請スケジュール
13 次公募のスケジュールは以下のとおりです。
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 公募申請受付期間 | 2025 年 10 月 31 日(金)〜2025 年 11 月 28 日(金)17:00 |
| 採択日 | 2026 年 1 月 15 日(木) |
| 交付申請受付期間 | 2026 年 1 月下旬〜2026 年 5 月下旬(予定) |
| 交付決定日 | 2026 年 1 月下旬(予定) |
| 事業実施期間 | 交付決定日〜2026 年 11 月下旬(予定) |
| 実績報告期間 | 2026 年 6 月中旬(予定) |
| 補助金交付手続き | 2026 年 9 月上旬以降(予定) |
注意点:
- 締切日時を過ぎてからの申請は受け付けられません
- G ビズ ID プライムアカウントの取得には 1〜3 週間程度かかるため、早めの準備が必要です
補助額・補助率
基本の補助額・補助率
| 区分 | 補助率 | 補助下限額 | 補助上限額 |
|---|---|---|---|
| 事業承継促進枠 | 1/2〜2/3 | 100 万円 | 800 万円〜1,000 万円 |
| 廃業費(併用時) | 事業費に準ずる | - | +150 万円 |
補助率の決定基準
| 対象者 | 補助率 |
|---|---|
| 小規模企業者 | 2/3 以内 |
| 上記以外の中小企業者 | 1/2 以内 |
賃上げによる上限額引き上げ
補助事業期間終了時に、事業場内最低賃金+ 50 円以上となる賃上げを達成した場合、補助上限額が1,000 万円に引き上げられます。
ただし、800 万円を超えて 1,000 万円以下の部分の補助率は1/2 以内となります。
小規模企業者の定義
| 業種分類 | 定義 |
|---|---|
| 製造業その他 | 従業員 20 人以下 |
| 商業・サービス業 | 従業員 5 人以下 |
| 宿泊業・娯楽業 | 従業員 20 人以下 |
対象者
中小企業者等の定義
| 業種分類 | 資本金 | 従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業その他 | 3 億円以下 | 300 人以下 |
| 卸売業 | 1 億円以下 | 100 人以下 |
| 小売業 | 5,000 万円以下 | 50 人以下 |
| サービス業 | 5,000 万円以下 | 100 人以下 |
※資本金または従業員数のいずれかを満たせば対象となります
対象者の主な要件
- 日本国内に拠点または居住地を置き、国内で事業を営む者
- 地域経済に貢献している中小企業者等
- 反社会的勢力でないこと
- 法令遵守上の問題を抱えていないこと
- 補助事業完了後の事業化状況報告等を期限までに提出できること
対象外となる中小企業者等
- 資本金 5 億円以上の法人に 100%株式を保有される法人
- 直近 3 年の課税所得の年平均額が 15 億円を超える中小企業者等
- みなし大企業(大企業が株式の 1/2 以上を所有等)
- 社会福祉法人、医療法人、一般社団・財団法人等
対象となる事業承継
事業承継対象期間
公募申請の受付終了日(2025 年 11 月 28 日)から5 年後の 2030 年 11 月 27 日までに事業承継を完了する予定のものが対象です。
承継予定者の要件
法人の場合
- 対象会社の会社法上の役員として3 年以上の経験を有する者
- 対象会社に継続して3 年以上雇用され業務に従事した経験を有する者
- 役員及び雇用の経験を通算3 年以上有する者
- 被承継者の親族であり、対象会社の代表経験が無い者
個人事業主の場合
- 個人事業に継続して3 年以上雇用され業務に従事した経験を有する者
- 被承継者の親族であること(過去に承継対象事業の代表経験が無い者)
事業承継の要件
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 決算要件 | 対象会社は公募申請時点で 3 期分の決算及び申告が完了 |
| 開業要件(個人) | 開業届提出日から 5 年が経過 |
| 承継形態 | 同一法人内の代表者交代による親族または従業員への事業承継 |
| 後継者選定 | 公募申請時点で承継予定者が選定できていること |
| 在籍要件 | 承継予定者が該当法人に在籍していること |
対象外となる事業承継
以下は補助対象外となるため注意が必要です:
- 経営権と所有権の移転を伴わない代表者交代
- グループ内の事業再編
- 物品・不動産等のみを保有する事業の承継
- フランチャイズ契約
- のれん分け
- 休眠会社や事業の実態がない状態の会社における代表者交代等
補助対象経費
事業費
| 経費区分 | 概要 |
|---|---|
| 設備費 | 国内の店舗・事務所等の工事、機械器具等調達費用 |
| 産業財産権等関連経費 | 特許権等取得に要する弁理士費用(事業費の 1/3 が上限) |
| 謝金 | 専門家等に支払う経費(士業・大学教授等に限る) |
| 旅費 | 販路開拓等を目的とした国内外出張に係る交通費・宿泊費 |
| 外注費 | 業務の一部を第三者に外注するために支払われる経費 |
| 委託費 | 業務の一部を第三者に委託するために支払われる経費(事業費の 1/2 が上限) |
廃業費(廃業・再チャレンジ枠との併用時のみ)
| 経費区分 | 概要 |
|---|---|
| 廃業支援費 | 廃業に関する登記申請手続きに伴う司法書士等に支払う経費 |
| 在庫廃棄費 | 既存の事業商品在庫を専門業者に依頼して処分した際の経費 |
| 解体費 | 既存事業の廃止に伴う建物・設備等の解体費 |
| 原状回復費 | 借りていた設備等を返却する際の原状回復費用 |
| リースの解約費 | リースの解約に伴う解約金・違約金 |
| 移転・移設費 | 効率化のため設備等を移転・移設するために支払われる経費 |
対象外経費
以下の経費は補助対象となりません:
- 事業承継における資産等の譲渡費用
- 中古品購入費
- 不動産の購入費
- 自動車の購入費(リース・レンタルは対象)
- パソコン、タブレット、スマートフォン等の汎用性の高い機器
- Web サイトの新規制作・更新等に係る費用
- 広告に係る費用(インターネット広告含む)
- 求人広告
- 販売用商品の製造及び開発の外注費用
- 通信運搬費、光熱水費
- 経営者・従業員のスキルアップ研修費用
申請の流れ
申請までのステップ
- 公募要領の確認 - 補助事業への理解を深める
- 事業承継計画の検討 - 認定経営革新等支援機関を選定
- G ビズ ID プライムの取得 - 未取得の場合は早めに申請(1〜3 週間必要)
- 必要書類の準備 - 各種書類の取り寄せ・準備
- 計画策定 - 事業承継計画、補助事業計画等を策定
- 確認書の取得 - 認定経営革新等支援機関から確認を受ける
- 加点書類の準備 - 該当する場合は証明書類を準備
- 電子申請 - jGrants で申請情報を入力・提出
- 差し戻し対応 - 事務局からの指摘があれば速やかに対応
申請方法
jGrants(電子申請システム)を利用した電子申請のみとなります。
申請にはG ビズ ID プライムアカウントが必要です。
必要書類
全申請者共通
- 公募申請書(別紙)
- 認定経営革新等支援機関の確認書
- 事業承継計画表(事業承継計画書、補助事業の実施体制図等を含む)
- 事業承継実施に係る誓約書
法人の場合(類型番号 1)
- 履歴事項全部証明書(発行から 3 カ月以内)
- 直近 3 期分の決算書(貸借対照表・損益計算書)
個人事業主の場合(類型番号 2)
- 承継予定者・被承継者の住民票(発行から 3 カ月以内)
- 直近 3 期分の確定申告書 B と所得税青色申告決算書
- 開業届及び所得税青色申告承認申請書の写し
審査ポイント
審査は以下の 4 つの観点から行われます:
1. 取組の目的・必要性
承継予定者による生産性向上等に係る取組が、自社の成長及び地域経済等の発展に資するものであること
2. 取組の実現可能性
- 商品・サービスのコンセプト及び具体化までの手法やプロセスが明確
- 事業実施に必要な人員の確保に目途が立っている
- 販売先等の事業パートナーが明確
3. 取組の収益性
- ターゲット顧客や市場が明確
- 商品・サービスに対するニーズを的確に捉えている
- 事業全体の収益性の見通しに妥当性と信頼性がある
4. 取組の継続性
- 計画通りに進まない場合の対応が考えられている
- 事業実施内容とスケジュールが明確
- 売上・利益計画に妥当性・信頼性がある
加点項目
以下の事由に該当する場合は、審査において加点されます。
| No. | 加点項目 |
|---|---|
| 1 | 「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」の適用 |
| 2 | 経営力向上計画・経営革新計画・先端設備等導入計画の認定 |
| 3 | 地域おこし協力隊として委嘱を受けている |
| 4 | 地域未来牽引企業である |
| 5 | 健康経営優良法人である |
| 6 | サイバーセキュリティお助け隊サービスを利用している |
| 7 | (連携)事業継続力強化計画の認定を受けている |
| 8 | アトツギ甲子園の出場者である(ファイナリストはさらに加点) |
| 9 | ワーク・ライフ・バランス等の推進(えるぼし認定、くるみん認定等) |
| 10 | 賃上げ要件(事業場内最低賃金+ 30 円以上) |
| 11 | 成長加速マッチングサービスで挑戦課題を登録している |
| 12 | 事業承継・引継ぎ支援センター等の支援を受け事業承継計画書を策定している |
| 13 | 米国の追加関税措置により大きな影響を受ける |
よくある質問(FAQ)
Q1. 専門家活用枠や PMI 推進枠との同時申請は可能ですか?
いいえ、同一公募回での申請は不可です。ただし、廃業・再チャレンジ枠との併用申請は可能です。
Q2. 事業承継が公募申請後でも申請できますか?
はい、事業承継対象期間(公募申請締切日から 5 年以内)に事業承継を完了する予定であれば申請可能です。公募申請時点では被承継者を補助対象者として申請します。
Q3. 交付決定前に発注した経費は補助対象になりますか?
いいえ、交付決定日以降に契約・発注を行い、補助事業期間内に支払いまで完了した経費のみが補助対象となります。
Q4. 相見積は必ず必要ですか?
1 件 50 万円以上(税抜)の支払いを要するものについては、原則として2 者以上から見積を取得することが必須です。外注費・委託費は金額に関わらず相見積が必要です。
Q5. 採択後に事業承継が完了しなかった場合はどうなりますか?
事業化状況報告において承継未完了が判明した場合、再度承継計画の提出を求められます。提出に応じない場合や事業承継が行われることが見込まれないと判断された場合は、補助金交付額を限度として返還を求められる可能性があります。
まとめ
事業承継・M&A 補助金(事業承継促進枠)は、親族内承継や従業員承継を予定している中小企業にとって、設備投資等の資金面での強力な支援策です。
ポイント:
- 最大1,000 万円(賃上げ実施時)の補助を受けられる
- 小規模企業者は補助率2/3で手厚い支援
- 事業承継の5 年前から申請可能で早期準備ができる
- 認定経営革新等支援機関の確認書が必須
申請には専門的な知識や書類準備が必要ですので、早めの準備をおすすめします。
参考リンク
※本記事の内容は 2025 年 10 月時点の公募要領(13 次公募 Ver.1.0)に基づいています。最新情報は公式サイトをご確認ください。

